卵価の高騰が企業体質の強化に繋がる
企業の顔を守ることで
苦境を乗り切る
株式会社 あじかん
代表取締役社長
足利 政春
 日々の経営の中では様々なことが起こります。企業のトップとして望むとおり全てがうまくいくわけではありません。ときには思いもよらぬ困難に遭遇することもあります。企業がそのような状況を乗り切るためには、目先の利益を追求せず、本業を疎かにしないこと。そして、企業のトップとしての人間性や品性を高める努力を怠らず、決して諦めないことが重要だと考えています。
企業の顔
 随分昔の話になりますが、あるお取引先の銀行の方から、ありがたいお言葉をいただいたことがあります。その内容は「あじかんさんには会社の顔がある。それは、単に経営幹部の顔ということではなく、立派な社屋や設備、ひるがえる社旗を抽象的に言ったものでもありません。目を閉じて、その会社のことを考えたとき、数多くの具体的な出来事や経験がよみがえり、頭の中を駆け巡って自然に浮かび上がってくる像 ― それはあたかも生きている人間のように顔を持って語りかけてくる。あじかんさんの顔は鮮明で、はつらつとしていて、躍動している。若々しくて大きな夢を秘めていると確信しています。」というものでした。
 私はこの言葉をいただいたとき、とても感激したのを覚えています。おそらく当社を訪問いただいたとき、当社の従業員と接し、その真剣さや仕事にかける思いを感じ取っていただいたのでしょう。私はそれまではあまり会社の顔というものを意識したことがありませんでしたが、このとき初めてそれがどのようなものなのかを教えていただいたような気がします。
 当社はまだまだ未熟な会社ではありますが、従業員全員が夢を持ち、切磋琢磨する環境を作るよう心がけてきたつもりです。そのような従業員一人ひとりの気持ちが、会社の顔となってこの方の心に訴えかけたのだと思います。
 会社の顔ということでいえば、当社にはもうひとつ大きな会社の顔があります。それは、当社の主力製品である「玉子焼」です。創業以来おいしさと安全性にこだわり、お客さまに喜んでいただきたいという思いで作りつづけてきました。おかげさまで、あじかんといえば「玉子焼」といっていただけるようになりました。
 本業の「玉子焼」を追求してきたことが、お客さまにも受け入れていただき、これまでの安定した成長に繋がっているのだと思います。
 また、戦後、物価の優等生といわれるほど価格が安定している卵を原料とするため、お客さまにも安定した価格でご提供できたことも当社としては幸運なことでした。
苦境をバネに
 しかし、ここ1年でその状況が一変し、卵の価格が当社にとって脅威となって襲いかかってきています。みなさまもご承知のとおり、昨年の初夏から卵の価格が高騰し、当社の今期の業績にも大きな影響を与えています。
 今回の卵価の高騰についてはある程度、予測はしておりましたが、一昨年までの鶏卵の過剰供給や昨年の鳥インフルエンザの発生、猛暑の影響など様々な要因が重なり、結果的には当初の予想をはるかに上回る高値で推移しています。
 当然のことながらできる限りの生産コスト低減策に取り組み、頑張れる限り頑張って、当面『製品売価の値上げは行わない』ことを基本的なスタンスとしております。
 原料が値上がりしたからといってすぐにお客さまへの販売価格に転嫁するということではなく、まずは社内で知恵を絞り、できる限りのことを行い、継続してお客さまに安定してご提供させていただくことが先決だと考えるからです。
 安定した価格でご提供させていただく「玉子焼」も当社の顔ですが、そのための企業努力や企業としての姿勢も冒頭で述べたような当社の顔です。この当社の顔を私は大切にしたいと考えます。
 それらを行った上で卵価が高騰しつづけ、経営の存続が危ぶまれるという状況になれば、製品の値上げもやむを得ないかもしれませんが、それまでは企業としての姿勢を貫いていきたいと思います。ひいては、それをバネに当社の企業体質を強化することにも繋がると考えています。

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