【緊急特別リポート】
〜業界のTR(トップランナー)が「成功の理由」を大公開〜
非効率こそ最高の差別化、
最大の攻撃・防御!
テイクアウト寿司を甦らせる4つの秘策
デフレ不況の中、テイクアウト寿司の低迷が続いている。しかし、販売不振にあえぐ企業の一方で、増収増益を成し遂げる企業も確かにある。あじかんともお取り引きのある昂水産グループだ。その石川代表がこのほど本誌に「成功のノウハウ」を特別公開。「低迷脱出のヒントになるなら、ライバルに“塩をおくる”ことになっても構わない。あくまで市場の活性化と底上げを図り、共存共栄できる環境を創るのが狙い」と、熱く語ってくださった。
 同グループにおける躍進の最大要因は、[お客様のハートをどうしたら獲得できるか?]、この点に的を絞ってメニュー開発や売り場づくりを追求した結果による。
 では、どのようにして実現しているのか、そのポイントを挙げてみよう。

■[お客様のハート獲得]に向けて
(1)お客様へのメニュー提案
次々と仕掛ける「攻めの姿勢」が肝要
約60アイテムのメニューを客の来店頻度に合わせ45日単位で一新

 「いま何が求められ、次に何がヒットするか。お客様にニーズを尋ねても漠然とした答えしか返ってきません。こちらからどんどん提案していって初めて“ああ、これだったのか!”と掴めるのです。飽きさせない工夫が何よりも必要です。 
 現在、私共の店における平日売上70%前後が他店には無い当店だけの独創的な寿司が占めています。人のやらないことにチャレンジすることは多少のリスクと勇気が必要ですが良い商品には必ずお客様が良い答えを出してくれます」

(2)味へのこだわり
見た目も味のうち。「きれい」と思わせれば勝ち
美しさと新味を求めて和菓子と世界の料理(イタリアン・フレンチ)を常に研究
良い米と良い素材は当り前。原価率に目をつぶってでも使う

 「食の世界ではきれい美味しそうは同義語。だからこそまず、見た目を大事にします。白いホタテにレッドペッパー等、ちょっとしたことですが、見る人が見れば、店のこだわりを理解してくれる。そのヒントになるのが和菓子や海外料理等、寿司とは異なる世界の感覚です。わっぱ風や長皿風、本格寿司桶といった容器の面も含めて、美しさと味には徹底してこだわるべきだと思います。
 また、寿司屋にとって米は生命線です。高級ブランドの米のみを使用しても調和の取れた食感にならないことは言うまでもありませんが、当グループでは年に10回以上米のブレンドを変更します。米は生き物であり、時間経過と共にその性質が変化します。また、気象条件にも左右されやすく、毎年均一な米ができるわけではありません。その変化過程や産地ごとの米の状況を把握しながら小刻みにブレンドを変更します。
 常にお客様には最高に美味しい状態で召し上がっていただくことを信条としています」

(3)値ごろ感の追求
「豪華な寿司がこの値段!」という嬉しい驚きを

 「好例はウチが平日サービスとして展開している477円シリーズ。消費税と合わせてワンコイン(500円)で買える手軽さ、値段のはるか上をいくお値打ち感で圧倒的な人気です。正直、この477円シリーズのヒットが無ければ現在の姿はありませんでした。このメニューは長年私自身の持つ固定観念との闘いの中生まれました。それまでの私どもの主力商品は「まぐろや生ねた中心のにぎり寿司」であり、それを極めることで売上を維持してきました。
 しかし昨今、巷には回転寿司、鮮魚の寿司、スーパーの寿司など「寿司」を取り扱う店が随分と増え、その分昔に比べて「寿司」が大変身近な存在になりました。言わば、どこでも寿司が買える状況なのです。このような飽和状態の環境で、我社も昔と変わらないことをしていては将来は無いと感じました。しかし、単純に価格を下げることは経営自体を圧迫します。そこで【豪華な寿司がこの値段!】とお客様に感じていただくためにはどうすれば良いかを考えました。477円シリーズは『創作寿司』です。そこには従来のスタイルはありません。具材にサラダやフルーツ、和菓子を盛り込んだよりファッショナブルな寿司を平日477円で展開しました。このことは今までいぶし銀の寿司を信条としていた私としては大決断でありました。
 私自身が従来持っていた固定観念を打破したメニューを出すことにより売上に比例して客層が広がりました。いぶし銀の寿司時代には考えられなかった若い女性、主婦、子供の層を獲得出来たことは、決断に間違いは無かったと自負しております。
 不思議なもので土、日に通常価格へ戻しても売上個数は変わりません。値ごろ感とはそういったことでしょう。

(4)売り場づくり
「お花畑」のような雰囲気づくりで滞店時間をアップ

 ディスプレイで大切なのは「どれにしようか」とお客様に迷っていただくことです。
 60種に及ぶ色とりどりの商品をオープンケースに陳列。好きな物をカゴに入れて買うスタイルはまさに迷わせる仕掛けです。平日なら、2〜3分滞店させることができれば、間違いなく実売に直結します。
 私どもでは大きく分けて【平日477円シリーズ】【価格様々な創作寿司】【握り寿司】【助六・盛り合わせ】【巻寿司】等、日々お客様へ提案を行っておりますが、お客様から見て《まるでお寿司で出来たお花畑》のイメージを心掛けました。その為、見た目にはかなり気を使っています。
例えば、
<1>従来寿司で緑色を加えるには大葉かバランが定説ですが、私どもでは女性に人気があるハーブ類や海藻類をふんだんに使っております。
<2>魚卵についても用途にあわせて、赤、黄、黒、などを使い分けております。
<3>容器の色、形状にもこだわります。商品のイメージに合わせての容器選びは大切なポイントです。
 大切なことは作り手の都合で使用材料を集約しないことです。作り手の都合はお客様には全く関係ありません。そして変化の無い売り場は、お客様から見て全く魅力がありません。
 一品ごとに手間ひま掛けて作った商品の結集がお花畑としてお客様に映るのです。

 新しいことに取り組むには多大な労力と時間、そして気力が必要だ。「最初の3ヶ月は寝る暇もありません。原価がかかる割には収益もなかなか伸びません。しかし、他がやらない面倒なこと――非効率なことに着手するからこそ、道は開けるのだと思います。これからも新しいことにチャレンジしていきます。・・・なぜならそこには夢があります。」
 市場全体の発展を、と願う石川代表の真摯な言葉には明日につながるカギが隠されている。

昂水産グループ】
所在地/グループ本社
[(有)昂水産:静岡県浜松市]
設 立/1987年(昭和62年) (有)昴水産 
代 表/石川昭夫(有)昴水産 
資本金/3,000万円
店舗名/海幸丸
事業内容/テイクアウト寿司の製造・販売
グループ会社/(株)チアフル(愛知県豊川市)

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