(株)ディー・アイ・フーズは、設立からわずか7年で30億円に迫る売上高を実現した、注目の成長企業だ。
地元の有力チェーンストア、 (株)寿屋の惣菜強化戦略を推進する子会社として出発。社名の DI「ディー・アイ」は旗印の「デリカテッセン・イノベーション(惣菜革命)」に由来している。
製造・卸、商事、小売(弁当店経営)からなる独自の事業戦略―。自ら「マルチメーカー・ベンダー」と称する、3本柱による経営が急成長の秘密だ。
同社の原点である製造・卸部門は、洋惣菜・寿司・シャリ玉に特化し、2ヵ所の工場で生産を手がけている。販路も設立当初からのスーパーに、99年(平成11年)からコンビニを加えて広がりを見せた。
強みは、あじかんの協力による「ジャンボいなり」や各種サラダ等、「お母さんの手づくりのおいしさ」にこだわった人気商品の数々である。この商品力にきめ細かな営業活動を連動させ、実績をあげている。 |
「各店舗における仕込み作業を肩代りし、その分、店舗の方には販売に力を入れてもらう。あるいはバイキング方式と対面販売を融合したユニークな売り方を提案する等で取引先の信頼を厚くしています」(中村専務)。
商事部門は、コストと手間のかかる和惣菜をアウトソーシングにより、調達する部門だ。九州内18の惣菜メーカーに製造・販売を委託している。同社と協力メーカーを緻密な商流・物流ネットで結び、タイムリーな製造とベンディングを実現。メニュー開発は取引先のバイヤーも交えて行い、年間120品目に及ぶ新メニューをもって変化するニーズに応えている。 |
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小売部門は、こだわりの弁当専門店「キッチン家族」の出店計画を担当。「ディー・アイ・フーズ独自のマーケット創造により、組織力と信用力を強化するのが狙い」だ。
「キッチン家族」のコンセプトは惣菜と同じ、「お母さんの手づくりのおいしさ」の提供。「特選ローストンカツ弁当」ほか抗生物質を使用していない自然鶏の「唐揚げ」など、ごはんも惣菜も味だけでなく、健康・安全面にこだわった姿勢が大きな人気を博している。 |
現在、製造事業における、スーパー、CVSの取引額はほぼ半々ずつだが、これを今後CVSに対しては品質強化を図り、シェアーの拡大を行なう。一方、スーパーに対しては親会社の寿屋を中心に惣菜部門の強化、活性化により更にシェアーを拡大させると、今後の戦略も明快だ。
商事部門については協力メーカーとの事業以外に、商品の供給力を生かすために五島列島産の「海草サラダ」や、イワシを使った鹿児島産の無添加天然調味料「コクデール」等の商材開発をすでに行っているこの「素材元売り」により日持ちする商品の全国販売を行ない、地場産業の一層の支援を図っていく。
また「キッチン家族」は素材&メニューで健康面をより強く打ち出す、差別化戦略を徹底していく。FCや分社化も取り入れつつ、2003年度をメドに40店舗体制を確立する構えだ。
「“キッチン家族”に見るように、当社は昨今の価格破壊傾向に同調する考えはなく、あくまで差別化戦略を貫きます。一品単価を上げることは困難でも、たとえば弁当であれば、プラスしてみそ汁や麺類を購入していただく等、買上単価をアップすることは可能。その意味でも、あじかんさんにはメニュー提案を含め、今後もさまざまな形でご協力願いたいと考えています。期待しています」 |
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